逮捕歴や前科の削除

プライバシー侵害と忘れられる権利

逮捕歴の削除

過去に警察などに逮捕されたことがあり、そのときの新聞記事をネットから削除したいという人は多いです。

とはいえ、逮捕されたばかりの時期は、削除されにくいです。削除できるまでの期間については、「刑の執行が終わってから3年」というのが、一つの目安になっているようです。

もう一つの基準としては、「時効」です。時効が5年の犯罪であれば、5年たったら削除できるという考え方です。

固定可能性とは

間違いなく本人かどうか

ネットの誹謗中傷の削除にあたっては、「固定可能性」という概念も重要になります。固定可能性とは、誹謗中傷を書かれている対象が、間違いなくその被害者であるかどうか、ということです。

削除依頼をするにあたっては、その記事で誹謗中傷されているのは、「私である」ということを証明する必要があるのです。

これは、過去の逮捕報道についても同じことです。

名誉毀損とプライバシー侵害の違い

ネットの削除要請の理由や根拠としては、「名誉毀損」と「プライバシー侵害」があります。このうち、過去の逮捕歴というのは、プライバシー侵害になります。

忘れられる権利

プライバシー侵害の法的根拠は、憲法13条のプライバシー権です。また、最近、「忘れられる権利」という言葉も注目されるようになっています。

嘘でも本当でも成立するのがプライバシー侵害

名誉毀損の場合、真実性が問題になる場合が多いとされますが、プライバシー侵害の場合は、問題になりません。つまり、書かれていることが嘘であっても本当であっても、プライバシー侵害というのは、成立し得るのです。

前科持ちの人に対する名誉毀損

もちろん、逮捕歴や前科のある人に対して、名誉毀損というのも成立しえるでしょう。ネットでは、逮捕報道とセットになって、様々な中傷コメントが記載されていることが多いからです。

逸脱論評とは

ネット削除要請の際に問題になるのが、「逸脱論評」に該当するかという問題です。これは、論評としての域を逸脱した過激な表現は、言論の自由で守り切られず、違法になりえるということです。

侮辱的表現もポイント

もう一つ、侮辱的表現というのもポイントになります。侮辱的だと認定された表現は、仮にそれによって社会的評価が低下したかどうかや、真実か否かがと会われことなく、違法だとされる場合があるのです。

3つの要件

また、以下の3つの条件のいずれかが満たされる場合に、名誉毀損が成立します。

・公共性がない

・公益性がない

・真実である

仮に真実であっても、公共性または公益性がないときは、名誉毀損は成立するとされています。